迫真の氷結晶

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分かるには無理矢理分かればよい?

2020-09-26
  • #生活/ポエム

最近防犯ブザーを改造して好きな音を鳴らすっていう電子工作プロジェクトに取り組んでいるわけなんだけど、さっきふと家の本棚を見たら『電子工作入門以前』という本があった。

これはもう2年以上も前に買った本だ。

本を買った当時から、好きな音が鳴るデバイス作れたらいいなとは思っていたものの、当時はあまりにも低レイヤ・ハードウェア・電子回路との縁が薄すぎて、電子工作に対するハードルをめっっっちゃ感じていたのだった。

中学の理科の実験でレモンでLED光らせたやつ結局なにも理解しないままにしてあるし、
高校の物理のテストの電気らへんのところなんか100点中2点だったし、
唯一覚えたのはコンデンサの静電容量の公式 Q=CV ってQVC福島みたいだあ(小並感)ぐらいだし、
まずコンデンサが直流を通さないのに交流を流すって何?線は繋がってないんだから流れるも何もなくない?

電子工作に対して感じていたハードルの高さは、もとはと言えば高校時代にあらゆる科目に対してとにかく学習を怠っていたことによる、前提知識足りなさすぎて今電子工作なんて初めても絶対何も分からないでしょという憶測というか先入観そのものだった。

電子工作にまともに入門するにはまず電気の知識から必須でしょ、と思って『電子工作入門以前』を買ったというわけだった。

それからまあ多少は頑張ってそれを読み進めてみたんだけど、やっぱり言ってることがよく分からなかったというか、読んでも全然頭に何も入ってこなくて、ただ眺めただけで終わってしまった。

それから2年半くらい経った。

まあ、去年1年間みっちりFPGAの回路を設計するコースを取っていたので多少は低レイヤーに慣れたということもあるけど、次にまとまった夏休みを取れるのはもういつになるか分からないぞということで焦って最近防犯ブザー改造に取り組んでいた。

まずそもそも防犯ブザーの回路はどうなっているのかというところから調べる必要があった。

幸いなことに回路図については、先駆者がいろいろいるおかげで、自分で基板とにらめっこしながら図を書き起こさなくても、他人が公開してくれた回路図を参照すればよかった。

回路にはコイルとトランジスタが使われていて、どういう動作をする回路なのかはっきりとは分からなかった。

でもまあもともと既に音が鳴る完成された防犯ブザーなので、ブザーの信号が流れていると思しきところに自前の信号を流してやればサウンド再生できるのではと思い、それを試してみる。

うまく音が鳴った。でも電源をつなぐたびに鳴ったり鳴らなかったりする。鳴っても途中で中断されるようになってしまった。

そういえば個人ブログの電子工作では電源の+と-の間に小さいコンデンサが挟まっているのをよく見かけるぞと思い、ブレッドボードの+と-の間にコンデンサを差し込んでみる。

毎回安定して鳴るようになった。ちなみにこのコンデンサのことをパスコン(バイパスコンデンサ)と言うらしい。

これでうまくいったと思い、防犯ブザーの中のわずかな空間に自分のICをなんとか詰め込んで配線し、フタを閉め、改造防犯ブザーを完成させる。

改造防犯ブザーのボタンを押すと、鳴ったり鳴らなかったり、途中で音が消えたりした。これじゃ失敗だ。

再び初めからやり直して、今度は音声信号の出力に小さい抵抗をつないでみたところ、音は多少小さくなったものの、音が鳴らなかったり、途中で途切れたりすることがなくなった。

そのまま電源間のパスコンを外したり付け直してみると、どちらでも正常に音が再生される。

成功の秘訣は出力の抵抗であって、パスコンは関係ないのではと思い、今度は出力の抵抗を外した状態でパスコンの有無の状態を比べる。

最初の実験と同じように、パスコンがないときはちゃんと鳴らなかった。

ここで、実験中に使っている乾電池と、実際に防犯ブザーに組み込むときのボタン電池とで、違う電源を使っていることに気づく。

最初に防犯ブザーのフタを閉めた時と同じように、抵抗なし、パスコンありで、実機と同じボタン電池を使ったらどうなるだろうと思い、乾電池ではなくボタン電池をブレッドボードにつなぐ。

すると、パスコンがあるにもかかわらず音が鳴ったり鳴らなかったりしてしまった。

乾電池を使っていた時は気づかなかったが、実は電気的にまずいことをしてしまっていたらしい。

今度はボタン電池を使って、出力に抵抗を付けた状態の実験をする。

すると、抵抗さえ付いていれば、ボタン電池の場合でも、パスコンの有無にかかわらず必ずちゃんと音が鳴ることが分かった。

抵抗があればOK、なければNGというところから、問題は電流量だった。なるほど、途中で音が鳴らなくなるのは、電源の限界を超える電流量を流そうとしてしまって電源電圧が下がってしまったということだったんだ。

今度はちゃんと抵抗を付けてから改造防犯ブザーのフタを閉める。

ボタンを押すと毎回問題なく音が再生されるようになった。成功だ。

という感じで数日間音声の不具合と格闘してとうとう改造防犯ブザーを完成させたのだった。

それから数日経ち、今さっき家の『電子工作入門以前』を発見して、しばらくぶりに読んでみた。

全部が理解できるわけじゃないけど、最初に読んだ時より圧倒的に理解できるようになっていた。自分で回路を触った経験と、その間に頑張って問題を色々ググったことで、何を言っているのかわかるようになっていた。

そして何より、理解できないところに対して、これは今あまり必要ないから理解しなくていいやとスルー出来るようになっていた。

このとき、あ、勉強ってこうやってするものなんじゃないかという発見に近い体験をして、実はそれでこの記事を書こうと思ったわけなんだよね。

今まで自分の中には、後々つまずかないように頭から攻めていくべきだという考えがあったわけで、まあこれで結構な機会を逃してきたと思うんだけど、実際は、とりあえず丸腰の状態で飛び出して行って、いろいろ問題に遭遇してみて肌感を掴んで、それから軽やかにジャンプしてスタート地点の方まで戻ってみるというやり方のほうが効率が良い。

分かると分からないの間には大きな隔たりがあって、その性質は、だんだんと分かるようになっていくみたいな連続的なものというより、あるとき突然分かるようになるというようなものだと思う。そしてその間の差はなかなか他人に埋められるものじゃないんだと思う。だから学校の教科書が、既に分かってる人だけにしか分からないように書かれているふうに見えるんだと思う。

実は勉強の初期状態は、分からないからできない、できないから分からない、というループになっているんじゃないだろうか。

このループを断ち切って分かるに進むためには、無理にでも分かる必要があるんだと思う。

分からないけど無理やり分かったことにする、というか分からないものとしてそのままにしておいた上で無理やり先に進んでしまう、っていうのが正しいやり方な気がする。

あと勉強において100%すべての内容が大事というわけではないんだから、全部を理解しようとせず、分からなくてもOK、本当に理解が必要になったらまた後ですぐちゃんとやり直せばいいんだよと割り切って、分からないところを無視して先に進んでしまうっていうのも大事な気がする。

人生で真剣に受験勉強に取り組んだことのある人間ならこんなのとうの昔に気づいてたんだろうな~~~

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