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小林深雪 泣いちゃいそうだよシリーズのメモ・感想③ 7作目 ホンキになりたい

2024-05-06
  • #生活
  • #読書メモ

今作は夏休みをテーマにした短編集。それぞれの物語についてメモと感想を残しておきます。 ネタバレ注意。

「好き。」を伝えたい 小川 蘭/中学一年生

2作目で唐突に明かされた姉妹での三角関係についての顛末(てんまつ)が補われるストーリー。

蘭の初恋の相手は、なんと姉がずっと想いを寄せていた相手でもあった。

姉を応援したい気持ちと、そうできない葛藤に苦しむ様子が、とても切ない。

蘭は苦しんだ末に、身を引いて姉を祝福する方を選ぶ。
姉思いの健気な妹に泣けてきてしまう。

 喉の奥から、やっとの思いで言葉を絞り出した。
「うちのお姉ちゃんは不器用だけど、誰よりも優しいから、よろしくお願いします。」
これが、今のわたしにできる精いっぱいのこと。
作文コンクールのテーマは、『かけがえのないもの』。
そう。わたしが、作文に書いたのは、お姉ちゃんのこと。
不器用だけど優しくて、泣き虫だけど、いつもわたしを笑わせてくれる。
生まれたときから、ずっといっしょにいる大好きなお姉ちゃんのことを、書いたんだから。

1作目で作文コンクールの取材が家に来たシーンで、蘭ばかりちやほやされていることに凜が不機嫌になってたけど、まさかその作文は凜のことを書いたものだったとは…。

作文の内容が気になりすぎるので続編で出てきたりしないだろうか…(期待)

かわいくなりたい夏物語 藤井 彩/中学三年生

このお話は、進研ゼミ中三コース『マイスタイル』に掲載されたものに加筆したものです。

(「あとがき」より)

話のテーマとしては「自分の進路なんて全然わかんないよ〜!でも周りは進路に向かって着々と努力していて、焦る」といった高校受験生あるある的な内容。

進路に悩む彩は、面倒見の良い周りの人々に助けられていき、遂には、また先輩たちと吹奏楽がしたいという確かな夢が芽生え、目標が定まる。

自分の信じて疑わない目標というのがこんなにもすんなりと出てきてくれたら楽だったんだけどなあ。

素直になりたい 山内 真琴/中学二年生

青い鳥文庫では、初登場! の真琴ですが、こちらは現在、進研ゼミ中二コースの『マイスタイル』で連載中の『いっしょにいようよ』番外編です。

(「あとがき」より)

主人公の山内真琴は、気が強くて男勝りなスポーツ女子。

「ズルは嫌い。反則も嫌い。正々堂々が好きなんだ!」

でも恋煩いは歴代主人公たちよりも重症で、耐性がない分強く感情に翻弄されがち。その様子はドロっと蝕まれているように見えて、ちょっと痛々しく刺激が強い。読んでいて結構いたたまれなくなってくる。

また、恋のライバルである大村泉も、性格が良く、非難するところが全く見当たらないというのがしんどいところ。

真琴は、ライバルであるはずなのに逆に泉を応援してしまうし、泉は、誠との相性の合わなさにつらさを感じて真琴を羨んでいる。

どっちも可哀想で、読んでいてしんどくなってくる。救いはないんですか!(レ)

新しいわたしになりたい 小川 凜/中学三年生

すごく良かった。元気をもらえる。

一度諦めたけど心の中でいつも引っかかっていること、後悔していることを、今からもう一度始めよう、というメッセージが込められた物語となっている。

上達の早い蘭と比べられるのが苦痛で幼稚園の頃にピアノを辞めてしまった過去を持つ凜は、苦しくても諦めずコツコツ練習を続ける蘭がどんどん難しい曲を弾けるようになっていくのを見るたびに、ピアノから逃げたことへの後悔とコンプレックスで自分を許せなくなるのだった。

そんなとき、凜の前に太宰修治が現れて、凜のピアノに関するわだかまりをすっかり解消して、凜が再びピアノを始めるきっかけを与える。

修治はエネルギッシュな言葉を残す。

でも、楽に生きるのと、面白く生きるのは、別なんだよね。兼ねられないんだよね。

今の自分に簡単にできることだけ、安全なことだけやっていたら、絶対に、つまんないままなんだ。

こうなりたいっていうでっかい目標を持って、なんとかしたいと行動しつづけたら、体の底から、大きな力が湧いてくる。

物語の最後は、宇宙の壮大なスケールについてまで話が膨らんで、読む人に、挑戦する勇気を与える。

でも、凜の高校生編を途中まで読んだ限りではピアノを再開する描写はなかった気がするな…どこかで出てくるだろうか…


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